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                  資本論ワールド


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2019新着情報
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   2019 資本論ワールドの科学史ハンドブック 12月号 2019.12.22
  「物質進化の旅」シリーズ 第2回

  ▼2019資本論入門12月号-3 デカルト革命—4

 デモクリトス原子Atom:(分割不可)」から
 
メンデレーエフ元素 Element の周期表 」と「原子の崩壊(階層・内部構造)

 

  ▼2019資本論入門12月号-2 デカルト革命—3

 デカルト革命400年と 佐藤隆文 『宇宙論への招待』

  ・・・
西洋コスモロジーの崩壊と回復―膨張宇宙の発見・・・
    
~ 「物質進化の旅」シリーズ第1回
   
  デカルト・ニュートンと『宇宙論への招待』  



 2019 資本論入門 12月号 2019.12.12作業開始・・・
 
文献資料 『資本論』 第1篇 商品と貨幣
 
第1章 商品, 第2章 交換過程, 第3章 貨幣または商品流通

  検索機能を追加して、

  
『資本論』本文と比較対応を充実してゆきます。

  

2019 資本論入門 11月号-2 2019.11.15

  デカルト系列の探求 Element-Elementarform (2)



  Ⅱ. ヘーゲルとマルクス


 17世紀、デカルトの宇宙・世界論は「自然の機械論系列化」を達成して、物質の一元論を構築しました。200年後、ヘーゲル自然哲学は「Gallertと細胞理論を結びつける」架け橋-源流として、生命 Element有機体を近代西洋社会に育みました-細胞理論の歴史を参照-。

 マルクスの
社会の生産有機体は、「自然の機械論系列化」を人間と自然の間の社会的物質代謝 Stoffwechsel として編成・適用しました。さらに、社会的物質代謝の Element (細胞形態の商品)をドイツにおける生命・細胞理論の伝統を継承してGallert(膠状物-生命体の実体あるいは原形質)ウィルヒョウを引き継ぎ、コロイド colloid の用語を使用しないで-を中軸として Elementaform に組み立て直し、構築しました。

 現代の資本主義社会では、“ 価値(労働価値)- gleichartige Arbeitsgallerte : 同種の労働膠状物 ” は、つねに「商品の物神性」として現象し、-
感覚的にして超感覚的な物に転化する-そのために事柄が複雑になります。新しい科学の創造分野としてマルクスの経済学・論理学は、「私が用いた分析の方法は、まだ経済上の問題に適用されたことのなかったもの」(『資本論』フランス語版序文 1872年 )だけに、西洋科学史の伝統的用語法を注意深く取捨選択し適用する必要に迫られたものと推測できます。

 前回に続き、資本論入門11月号-2は、「ヘーゲルとマルクス」です。



      ***   ***   ***   ***   ***


   2019 資本論入門 11月号-1 2019.11.06



 デカルト系列の探求 Element-Elementarform (1)  


  
Ⅰ. デカルトとマルクス


    Ⅰ-Ⅱ. 文献資料 

  (1) 『資本論』のGallert・膠状物(凝結物)とゲル化 (2016資本論入門4月号)
  (2) 
<コラム2> Gallert・ 膠状物と 萌芽 Keim (2016.12.06)
     -人間労働のゲル化・Gallert と 胚細胞・Keim-

  資本論ワールド編集部 はじめに
 デカルトは、「従って何ら特殊な質料に関わりなく、順序と計量的関係とについて求められうるすべてのこと」を指針として、デカルト科学の体系を形成しました。マルクスは、『経済学批判』と『資本論』の “
価値方程式” において、デカルトの「比例と方程式」を継承していますが、 “ 価値 ” は、つねに「商品の物神性」として現象するー「感覚的にして超感覚的な物に転化する」-ために事柄が複雑になります。・・・・

     ***   ***   ***   ***   ***


   2019 資本論入門 10月号-2 2019.10.27

  <コラム29> 商品の物神的性格とその秘密」の研究

      ~ 商品-貨幣-資本の物神性



  2019 資本論入門 10月号-1 2019.10.25

  <コラム28> 資本物神性の三位一体

   ~ 『資本論』のキリスト教神学と「商品の物神性」

 「三位一体」とは、キリスト教の中心的教義の一つ。神の神性として、「父と子(イエス・キリスト)と聖霊」の特有な「関係」を表しています。神は「一つの実体、三つの位格(ペルソナ)」と表現され、神学上の詳細説明は他の箇所で行います。
 第48章「三位一体」は、キリスト教世界の「ペルソナ」の特徴的なあり様の探索によって、「『資本論』の物神性」への一里塚として役立つことでしょう。
  <目次>
 1. 『資本論』 第48章 三位一体の定式
 2. 『資本論』のキリスト教神学と「商品の物神性」
 3. ド・ブロスのフェティシズム と 『資本論』


     ***   ***   ***   ***   ***

 
2019 資本論入門 9月号 2019.09.30-10.00

 
文献資料 デカルト革命—2-


  ~ デカルト革命の400年と 『資本論』のElementarform


 
デカルト革命から物質進化へー「真空」とヒッグス粒子ー質量の誕生



     ***   ***   ***   ***   ***


  2019 資本論入門8月号             2019.08.08

 
 
コラム27『精神指導の規則』 と 『デカルトの数学思想』



                            ★文献資料 デカルト『宇宙論』



  資本論ワールド編集部 まえがき

 
・・・科学史研究者の佐々木力さんは、著書のなかで、
 「・・・・大きさのいくつかの関係を表現する比例は、既知の大きさと未知の大きさの両方をもった代数方程式に翻訳される。
未知の大きさを得るために代数方程式を解くことだけが残す。」
 「 『精神指導の規則』は、解析的〔分析的〕歴史において決定的段階を画しているのである 」と述べています。 『資本論』の「価値方程式」は、「デカルト革命」の申し子で新たな1ページを開拓しました。


      ***   ***   ***   ***   ***



  2019 資本論入門7月号 -3-


 
第4回 『資本論』の科学史ハンドブック 2019-4    2019.07.30


   デカルト革命 について -1-


     
『資本論』価値方程式の源流


  資本論ワールド編集部 はじめに


  デカルトは、「近代哲学の祖」とも呼ばれています。中世ヨーロッパを覆っていた「アリストテレス自然学」を解体する“道すじ”を切り開き、同時に、ヘーゲル論理学と『資本論』の価値方程式を基礎づける「普遍数学」を構築しました。「デカルト革命」を震源とする「機械論の伝統(元素-原子論世界観)」は、20世紀アインシュタインによる「質料とエネルギーの等価性Emc2 )」の発見を経て、現代進化論のすそ野を拡張しつづけています。


 21世紀の私たちから「デカルト革命」を振り返ってみると、ヘーゲル論理学(『小論理学』)の難点に気づかされます。ヘーゲルの観念論が、「絶対精神である神」の自己展開の論理性を表現するのに対し、デカルトは、「機械論宇宙」で一貫した自然体系を構築しています。アリストテレス科学を受け継ぎ、“物質世界の運動”が原点にあります。
 この論理構造が、人間社会の分析に適用されるとき、資本主義社会の “ 
Element ” -『資本論』の価値方程式が出現してきます。・・・


     ・・・~  ・・・~  ・・・~  ・・・~  ・・・~


  2019 資本論入門7月号 -2-     2019.07.16

 
  <コラム26 機械論自然学の西洋史


    カーニィ 『科学革命の時代』 から 「デカルト革命」の序論

  第1部 カーニィ 『科学革命の時代』 平凡社 1983年発行
   Ⅰ. 西洋の3つ科学的伝統
          ー 有機体的、魔術的、機械論的 伝統
   Ⅱ. 科学の言語-アリストテレス学
   Ⅲ. デカルトと機械論の展開-(デカルト革命序論)


     デカルト 『哲学の原理』 
  1.人間的認識の原理 2.物質的事物の原理 3.目に見える世界について 4.地球について

        ド・ブロスとフェティシズム 2019.07

 
    ★
資本論ワールド編集部 はじめに
    ・・・中略・・・
 決して易しくない『資本論』と格闘する場合も、困難が極まってきます。第1篇「商品と貨幣」の最大の難関登山ルートは、「商品世界の物神的性格 Dieser Fetischcharakter der Warenwelt」です。資本論ワールドの眼目も、中世キリスト教神学との深い繋がり ー キリストの受肉思想 Inkarnation (化身) ー と、“フェティシズム Fetischismus :物神崇拝・物神礼拝” に馴れ親しむことから始まります。そして、カーニィ『科学革命の時代』を通じて、科学者たちの「魔術的伝統」とこれらと苦闘しながら克服した「機械的伝統」の歴史が実感されるよう、ガイドのお役となれば望外の喜びです  (2019.07.14)


    ・・・~  ・・・~  ・・・~  ・・・~  ・・・~

  <コラム27> デカルト革命と価値方程式
    第2部 
「デカルト革命」の序論 と 『資本論』の価値方程式

     ・・・~  ・・・~  ・・・~  ・・・~  ・・・~


  2019 資本論入門7月号 -1-      2019.07.10


 
コラム25 機械論の原理


   機械論の原理による自然説明のはじめての試み」
   始原物質の探求と元素説のはじまり
   
 機械論から原子論へ
   
 現象の測量ー質から量へ還元

    →「歴史的に、論理的に」アシモス科学史と『資本論』のElement
      *Ⅱ. 
元素Element”概念の形成史の“原子論
  


     ***   ***   ***   ***   ***


 
  2019 資本論入門6月号

 
第3回 『資本論』の科学史ハンドブック 2019-3  2019.06.19



  古代思想の目的論体系化-アリストテレス



  第1部 アリストテレスの目的論自然学

         
 機械論自然学 対抗自然史 (1)


  第2部 シンガー著 『科学思想のあゆみ』



                   2019文献資料:アリストテレス著作集
                 
★『自然学・天体論・生成消滅論・気象論



  資本論ワールド 編集部 はじめに   2019.06.19   

  
目的論から機械論へ

 
 ・・・一方で、「目的論自然観」に対抗する「機械論自然観」に立脚した「原子論」哲学は、デモクリトス(前460-370)らを中心として自然哲学が成長しています。デモクリトス原子論を継承したエピクロス(前341-270)からルクレティウス(前99-55)へと引き継がれていきますが、1000年の中世を経てルネサンス期1400年代に再発見され「原子論」説が復活します。

 大航海時代に伴う航海術など科学技術の進歩や機械時計の普及を経て、近代的「機械論自然観」も発展を遂げてゆきます。これらの時代背景により、神学者で哲学教授のガッサンディ(1592-1655)によってエピクロス原子論の仮説が提示され、キリスト教神学と調和が図られます。一方、同じ「機械論自然観」を唱えるデカルト(1596-1650)は、「原子論」仮説には強く反対し「粒子の運動」による宇宙論を構築しました。
こうして、「元素・原子論」は、2,000年の時を越えて、ボイル(1627-1691)の新しい時代を迎えることになります。


  
科学史ハンドブック 「元素・原子論」 と 「周期律・表」

 
『資本論』の科学史ハンドブック2019 では、アリストテレス(前384-322)自然学からデカルト(1596-1650)とボイル(1627-1691)を経て、ドルトン(1766-1844)原子論の誕生とメンデレーエフ(1834-907)周期律・表までを探求・追跡してゆきます。「元素・原子論」は、アリストテレスの「四元素と目的論体系」が克服され、「周期律・表の完成」を経てはじめて十全な科学体系としての地位を獲得することが出来ます。

  
"Element" と "価値方程式(A商品x量=B商品y量)"

 
『資本論』の "Element" は、「周期律」として表示され " 価値方程式 (A商品 x量=B商品 y量) "として構築される
Elementarform ー ことで、はじめて十全な価値表示・科学体系としての地位が築かれるのです。これによって、資本主義の原理体系は、"Element" から始まり、「資本制生産様式の支配的である社会の富は、「巨大な商品の集まり」として現われ、個々の商品はこの富の成素形態 " Elementarform " として現われる、ことになります。


  【編集部注1

『資本論』第1章 冒頭の「始まり」である"Elememt"が、古代ギリシャやアリストテレス自然学の伝統にならっているのは、目的論と機械論双方の伝統を引き継いでいるものと思われます。これらの自然学の対抗関係から、マルクス独自の "Elememtarform" 概念が創出されてゆきます。この創出過程の叙述形式が、『資本論』の論理学に相当することになります。
 (
マルクスは『論理学』にかんする著書をこそ書き残さなかったけれども、『資本論』という論理学を残した。レーニン『哲学ノート』参照


      ***   ***   ***   ***   ***



    2019 資本論入門5月号

 
第2回 『資本論』の科学史ハンドブック 2019-2

 


  アリストテレスの四元素説と第一哲学


  ダンネマン『大自然哲学史』 第1巻

   ~
ギリシャ人における科学の発展

 
 
訳者 安田徳太郎 序
 この本はドイツのフリードリッヒ・ダンネマンの『発展と関連から見た自然科学』1920-1923年全4巻の翻訳である。自然科学の全体的な発展的過程把握であり、科学を推進せしめる社会的背景の認識であった。こういう立場から書かれた科学史が、どこにもなかった。・・・ 1937年にダンネンマン教授に翻訳権の許可を求め、アメリー・ダンネマン嬢から快諾の手紙をいただいたが、その文中に「父も昨年なくなりました」とあり・・・。
 敗戦後共訳者の加藤正君は、長い闘病生活ののち、1949年に43歳の若さで亡くなった。・・・そこで戦後の混乱のなかで、今度は私一人で翻訳をつづけ、1960年にやっと完結を見た。・・・ それから30年の歳月が流れた。数年前に三省堂出版部の人が見えて、改訳してほしいという相談を受けた。・・・
 この本は今日の高い科学的水準から見ても、やはりすぐれた本であって、これまでのところ、これをしのぐ科学史本はまだ出ていない。・・・この本の基礎知識は高等学校の自然科学の程度で、今日の日本人ならだれにでも理解できる、やさしいものである。しっかり腰をすえて、科学の原点に立ち返り、新しい目をでもって、ピュタゴラスやアルキメデスの数学、コッペルニクスの天文学、ガリレオ・ガリレイの力学を、原典について学ぶのは、日本人にとっても、楽しいことであると思う。・・・ 1976年10月1日 安田 徳太郎


     ***   ***   ***   ***   ***
 

 


     2019 資本論入門4月号

 
第1回 『資本論』の科学史ハンドブック2019-1 


 
「歴史的に、論理的に」 アシモス科学史と『資本論』の “Element”


 資本論ワールド編集部 はじめに

 
『資本論』の科学史ハンドブック2019の開設にあたり、編集の概略をご案内します
 マルクスは1859年に『経済学批判』「第1冊資本について」を刊行しましたが、「第1章商品」で中断しています。その後、『資本論』の初版第1巻(第1部)が、1867年に刊行され、第2版は1873年に出版されました。マルクスの死後に、『資本論』第2巻が1885年に、第3巻が1894年エンゲルスによって編集・刊行にされました。
 『経済学批判』から『資本論』第3巻までの19世紀後半は、西洋に始まった資本主義社会がヨーロッパからアメリカ大陸や世界の各地へと展開された時代です。グローバリゼーションの始まりですが、ちょうど近代西洋科学の成立と歩調をあわせて資本制生産が全地球規模で開始されます。ユーラシア大陸の東端に位置する日本列島にも「資本の時代」が押し寄せ、明治の“文明開化”が開始されてゆきます。
 こうして日本列島の住民-私たちの直接の先祖-は、はじめて日本人としての意識形成やアイデンティティが醸成される環境に置かれてゆくことになりました。1903(明治36)年4月小学校令の改正により、翌19年4月から教科書の国定制度がスタート、明治政府による全国共通の教科書が使用されてゆきます。
 西洋では、フランス革命と産業革命を経て「科学の進歩」による資本制生産の発展を目指す時代を迎えています。各種学校制度と研究機関の充実が、国力と直結する時代の幕開けともなり、科学教育の充実が各国政府の至上命題ともなりました。(日本では、江戸時代の寺小屋形式による識字教育が普及し、西洋に比べても格段に高かったと評価されています。)

 このような時代背景を横目で眺めながら、西洋の科学史を通覧することは、19世紀西洋文化から誕生した『資本論』の歴史性を実感してゆくうえで、欠かすことができません。近代の科学革命は、フランスのラヴォアジェ(1743-1794年)によって開始され、イギリスのドルトン(1766-1844年)による「原子論」が展開されることによって、物理化学の新しい世界が切り開かれました。一連の「
元素革命-ラヴォアジェからメンデレーエフ」は、元素・原子の規則性、法則性に関するメンデレーエフ(1834-1907年)の周期律・表によって現在に至っています。自然の“比例性”に新たな1ページを画することになりました。
 またドイツでは、カント(1724-1804年)の“星雲説”からゲーテ(1749-1832年)“形態学”を経て、ヘーゲル(1770-1831年)によるドイツ古典哲学が形成され、西洋の自然科学的思考に弁証法概念が深化してゆきます。
 こうした西洋科学史を背景に、「巨人の肩の上に立って」マルクスは、『資本論』を叙述してゆきます。エンゲルスが指摘しているように、「マルクスは、ヘーゲルの論理学の皮をむいて、この領域におけるヘーゲルの真の諸発見を包有している核をとりだし、かつ弁証法的方法からその観念論的外被をはぎとって、それを思想の展開の唯一のただしい形態となる簡明な姿につくりあげる、という仕事をひきうけえた唯一の人であったし、また唯一の人である。マルクスの経済学批判の基礎によこたわる方法の完成を、われわれはその意義においてほとんど唯物論的根本見解におとらない成果であると考える。」
『経済学批判』について 参照 )


 さて、「科学史ハンドブック2019」の始まりは、
『資本論』の “Element(Elementarform)” です。
 “Element” の日本語訳は、「原理、初め、初歩、要素、成分、分子、基本、第一原理、元素」などさまざまで、まさに西洋文化の伝統が凝縮されています。ちなみに『資本論』第1章冒頭の「個々の商品はこの富の
成素形態として現われる。」(Der Reichtum der Gesellschaften, in welchen kapitalistische Produktionsweise herrscht, erscheint als eine "ungeheure Warensammlung", die einzelne Ware als seine Elementarform.) ―「Elementarform 」を翻訳した日本語をみますと以下のようです。

 岩波書店訳(向坂訳)の成素形態-Elementarform-をはじめ、基本形態、原基形態、要素形態となっています。「Element」が成素、基本、原基、要素と訳され、用語の不統一も甚だしく、これでは科学書としての「共通言語」が形成されていない状況が伺えます。50年ほど前までは、「世界に冠する日本のマルクス経済学」などともてはやされていましたが、今日では何とも底の浅い途上学問であったようです。―ちなみに18世紀末、ラヴォアジェの化学革命は「化学命名法」から始まり、ラヴォアジェ著『化学のはじめ』のフランス語は「
TRAITE ÉLÉMENTAIRE DE CHIMIE, :化学の基礎原理を扱う概論」となっています。― 難解であり、解読不能とまで言われる『資本論』の不人気は、出版社や翻訳者による不明瞭な用語法-翻訳書どうしの共通地盤の欠如-も拍車をかけているようです。


 今回ご紹介する「科学史ハンドブック2019」第1回に登場する
アイザック・アシモス(1920-1992年)は、「現代科学の複雑な思想を、科学者ではない人にもわかる言葉で説明する、すばらしい才能によってよく知られた」科学者です。『化学の歴史』と『生物学の歴史』の2冊のうち、『資本論』の時代背景に直接結びつく事柄を選んで、「歴史的に、論理的に」西洋科学の歩みを学んでゆきます。『化学の歴史』では、「元素Elememt」概念の形成・発展史を早足で探索します。つぎに『生物学の歴史』から、「化学的な見方」と生物学の相互進化が果たした人類史への貢献を散策してゆきます。二つの科学史の相互交流によって、相補いながら、近代科学の成長を具体的に展望することができます。これらの基礎知識を土台にしながら、改めて『資本論』第1章から第3章を振り返った時、「歴史的に、論理的に」発展の思想で展開された『資本論』の文脈と文体に接し、西洋の最先端科学を駆使しているマルクスの雄姿を垣間見ることができます。
 なお、アシモスが引用している主要な科学者-アリストテレス、ロバート・ボイル、ラヴォアジェ、ドルトンそしてメンデレーエフ-について、当該書物の原本等が参照できるように工夫し、さらに探求を深められるよう便宜を図りましたので活用してください。 では、素晴らしい航海をお楽しみに!!


      ***   ***   ***   ***   ***


    2019 資本論入門3月号-2  2019.03.23


  カール・マルクス 『経済学の方法』 の研究



  
-『資本論』の科学史ハンドブック2019-1 序論2 Elementの多様性



 マルクスは「経済学の方法」の叙述にあたって、読者に慎重な取り扱いを述べています。
「りんかくを示した一般的序説〔「経済学の方法」はこの一般的序説に含まれています〕は、発表をひかえておく。というのは、よく考えてと、まず証明しなければならないのに、そのまえに結果を示したりすれば、それはかえってじゃまになるように私には思われるからであり、また読者がそもそも私のあとからついてこようとするなら、個々のものから一般的なものへともぼっていく決心をしてもらわねばならないのであるからである。」(『経済学批判』序文)

 資本論ワールドの読者は、すでに『資本論』とヘーゲルの関係性についても考慮されていますので、「経済学の方法」を探索することにより、マルクスの思考形式-弁証法的思考-を参照することが可能となります。
 「経済学の方法」は当時公刊されなかったのですが、マルクスの叙述スタイルを予めざっと見通すことができれば、『資本論』の感触を柔らかなものして、親しみが感じ取れる論文となっています。
 この小論の特徴は、歴史的な例証とともに『資本論』冒頭の「
成素形態Elementarform」を読解してゆく手がかりとなっています。この文脈に登場する「成素」、「最も単純な諸規定」そして「単純な範疇」の用語-Elementが出現する文脈の構造/Elementarform分析-に注目しながら、探索を始めてゆきます。


 


    ・・・~  ・・・~  ・・・~ 


コラム24> コスモスと比例の源流
―宇宙と自然の「調和と秩序」 2019.03.14


 ピュタゴラスの原理 ・・・秩序の原理として数は世界に現われる


 初期ギリシア思想における二つの主要な伝統は、古代後期には、イオニア派とイタリア派の名で呼ばれた。後者はピュタゴラスに始まる。彼は、出生で言えば東方ギリシャ人であるが、若いころ故郷のサモス島を離れ、およそ前530年ころ南イタリアに移住して、その地のクロトン市に定住し、自らの団体を設立した。・・・彼の数学的な哲学の基礎となったと言われる発見は、音楽の分野における発見である。彼は、完全和音-この言葉は今日も用いられていると思うが・・・



        ***   ***   ***   ***   ***

 


  コラム23 アリストテレスの形相と可能態(デュナミス)

      ー 『資本論』の弁証法の源流を訪ねてー


   ガスリー 『ギリシャの哲学者たち』



  『資本論』に引き継がれた古代ギリシャ世界

1.
 古代のギリシャ世界では、アリストテレス(前384年― 前322年)よって科学的概念が集大成され、現代に至るまで大きな影響を及ぼしています。・・・


2. 『資本論』-西洋哲学史と「形相と質料」の研究との関連ついて
 このガスリー『ギリシャの哲学者たち』は、1950年に発表されています。シュヴェーグラー著『西洋哲学史』は1848年ですから、100年が経過しています。-この間に『資本論』の第2版が1873年、エンゲルスによる第4版が1890年に刊行されています-。 マルクスは価値概念の分析にあたり、アリストテレスの比例論(価値方程式)と同等性(Gleichheit:等一性と訳されている)について、『資本論』で引用・解説を行っています(岩波文庫p.109)。アリストテレスの時代に、「価値存在」への高度な考察がすでに始まっていることを証明しています。・・・

 ・・・それでは、マルクスゆかりの地:ガスリーの古代ギリシャ世界へご案内しましょう。



     ・・・・~   ・・・~   ・・・~


     2019 資本論入門3月号  2019.03.10


  『資本論』西洋哲学史と「形相と質料」の研究 -1-


   シュヴェーグラーと今道友信の『西洋哲学史』より
 

    -『資本論』の科学史ハンドブック2019-1
 序論.1-


 資本論ワールド編集部 はじめに

 *『資本論』に登場する“ 商品種 Warenart ”の翻訳に対して、岩波向坂訳以外は、“-art (Art:生物の種)”に対して大月岡崎訳をはじめとして「種類-商品種類」と翻訳しています。この翻訳語の違いは、『資本論』と“どのように向き合う”という姿勢の違いが顕著に現われています。ここにも、西洋文化に対する「認識の差異」あるいは「無意識的欠如の発露」とでも言える現象が、翻訳家個人個人の深層心理に根差しています。古代ギリシャは、考えられているよりも、ずっと存在の彼方だったのです。・・・・



       ***   ***   ***   ***   ***


    2019 資本論入門2月号 「価値の実体と形式」について


  2019 資本論ワールド  2019.01.30


 
 資本論ワールドは4年目に入りました。これまでお付き合いをいただきました。

  
探検隊の皆さんをはじめ、ご協力をいただきました方々に感謝申し上げます



 昨年11月以来、しばらくお休みを頂いていましたが、2月から再開できる態勢が整ってきました

 
第4期資本論ワールド編集方針についてご報告いたします


  1. 
従来の基調を継続する

  2. 
下記2018年総合案内の残されたテーマを続行する

  3. 
昨年末に行われた「編集会議」を踏まえ、改善と内容の充実を図る

   ① 
岩波書店向坂訳『資本論』の刊行(1967年)に続き、6出版社の『資本論』が市場に流通している。現状の根底にある“日本文化の異質性(注1)”への対応策を検討する

   ② 各社・翻訳者の
“独自性(注2)”による作品群となり、読者間への共通ルールは存在しない。

   ③ 向坂訳を含め、共通している“スタイル”は、『資本論』原本と「翻訳本」日本語との整合性は皆無と言える。すなわち翻訳者各人の人格に一任されている。

   ④ 各社・翻訳者に共通する欠陥は、ヘーゲルを無視(不勉強による?)することによる誤読・誤訳から『資本論』の理解と用語解読が消化不良となっていること。

   ⑤ これらの現状の改善ー最低限の「翻訳共通ルール」の構築は急務である。すなわち、現状の翻訳『資本論』は、翻訳の言語ルールがなく、「科学書」としては認知されない。特に、ドイツをはじめ、伝統的な西洋文化と科学言語に対する共通理解の構築が必須である。

  4. 過去3年間の掲出テーマを集計整理し、上記課題に資する作業を行う。


 
   
以上の目標に向かって、来月から始めてゆきます。ご協力をお願い申し上げます


   (注1)“日本文化の異質性”
  日本のマルクス経済学は、特異な構造を歴史的に形成しています。『資本論』をテキストにしながらも、翻訳者ごとまちまちの日本語表示で、今日に至っているのです。西洋科学史に見るように、ラヴォアジェの「化学革命」以来、19世紀の西洋科学は、「科学言語」の創造と革新の時代です。私たちは、「『資本論』の科学史ハンドブック」を通じて、西洋科学の成立ちを改めて確認してゆきます。

 (注2)翻訳者の “
独自性
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『資本論』の翻訳問題は、深刻です。1969年、岩波書店・向坂逸郎訳以来半世紀が経過しましたが、翻訳者ごとに、特異な出版物が横行し続けています。新訳と称しても、その用語解説が行なわれず、読者は翻訳者と出版社の支配下に置かれたままです。わたしたちの「資本論ワールド」は、この悪弊を抜本的改革を目標としています。

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