資本論ワールド総合検索 2016-2020
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年月別 新着情報 |
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資本論用語事典2021 収録情報
* 新着情報2020/12-01
1. 比例論 と 価値方程式への道のり/
ユークリッド幾何学 『原論』 と『資本論』の比例論
2. 表現方式 Ausdrucksweise と 数式の仕方(方式)
方程式の分析を通じて価値を導き出す
3. カント哲学から非ユークリッド幾何学へ
→カント「空間理論」の批判と非ユークリッド幾何学の創造
→ ユークリッドと非ユークリッド幾何学
3-2 非ユークリッド幾何学の創造
3-3 『新幾何学思想史』 近藤洋逸
→ ユークリッドと非ユークリッド幾何学
4. 『資本論』 - 共通なもの Gemeinsam
表現の仕方・形式 Ausdrucksweise = 現象の形式
5. ヘーゲル 『自然哲学』 ・・・マルクスの継承・・・
6. 岩波・向坂訳と日経BP・中山訳の対比研究
2020『資本論』の翻訳問題
7. ヘーゲル『大論理学』 算術ー関係づけの仕方 Beziehungsweisen
8. カント『純粋理性批判』 批判哲学と数学的命題
-カント哲学から非ユークリッド幾何学へ-
→『純粋理性批判』 序 論
→『純粋理性批判』第2部超越論的な方法論
9. A 中山元訳 『資本論』 抄録と解説
『資本論』の翻訳問題ー価値の分析-抽象の方法
10. 元素から見た 『化学と人類の歴史』 -周期表の物語
-元素と原子の組織化 Element と Elementarform-
10.-2 元素の分類と組織化(1)
10.-3 元素の分類と組織化(2)
10.-4 元素 と 周期律・表-ウィキペディア
11. 「抽象的に abstrakt 人間的な労働 menschliche Arbeit 」
12. 価値表現 と 価値実体 Wertsubstanz と 価値変化 Wertwechsel
<コラム3>商品の価値表現 Wertausdruck と価値方程式-
13. ヘーゲル小論理学 「形式」-「形式規定」-「形式活動」
ー 形式 「Form」 の翻訳問題 ー
14. 価値方程式 Wertgleichung の元素形式 Elementarform
- Element と Gallert -元素の分類(分類単位)と組織化-
15. 『資本論』とヘーゲル構造と機能システム
関係性-構造と機能システム
16. 属性-性質-性格_集計 2020.07.10
17. 第2部 ヘーゲル論理学 - 価値表現の “ 同一性 ”
-価値表現・方程式とヘーゲル論理学-
→ 第1部 価値表現と価値方程式-商品の価値関係
18. 『ヘーゲル論理学入門』 と 「小論理学」 “現実性”の研究
19. Element-Elementarform
-関係性の構造と機能システム-
A. 西洋の「元素論」の歴史的概要
B. Element の形式活動 ・・・2021.03 Element
20. 『資本論』 価値表現と価値方程式について(解説)
-第1部 価値表現と価値方程式 -商品の価値関係-
→ 第1章第3節 3 等価形態 (全文)
21. ・現実性とその条件について ・同一性と必然性
- ヘーゲル「論理学」と『資本論』の「価値表現」-
→ 『ヘーゲル論理学入門』序章(要約)
→ 「 物 Ding 」 の相関 §125 - 130
22. 「価値形態」序説 - 価値の形式活動 (1)
- ヘーゲル「小論理学」抄録と資本論 -
→ 商品の価値対象性 Wertgegenständlichkeit
→ 偶然性と条件 -ヘーゲル小論理学
■『資本論』 経済学批判 <第1版 第2版 対比研究>
→ 社会の富/古典派経済学の批判的継承1-1
→ 翻訳問題「方程式と価値方程式」(抄録)
→ 等式と方程式-価値表現の分析・解読
23. 翻訳問題 方程式 と 価値方程式Gleichung und Wertgleichung
-交換価値が表現される方程式の分析 翻訳問題
24. 第3節 価値形態 A. B. C. D. の発展
25. 単純な価値形態と「ヘーゲル論理学」
26. 『資本論』 と ヘーゲル「小論理学」 B 現象, C 現実性
~相関関係—現象と相関~
27. <コラム31> 外観 Schein-対象的外観と仮象 Schein
A. 『資本論』 外観-対象的外観
B. ヘーゲル「小論理学」 仮象
C. ヘーゲルヘーゲル『大論理学』本質論第1章仮象 Schein
28. 『資本論』 第23章第4節 資本主義的蓄積の一般的法則
-社会的富の現象形態-
29. 「貨幣形態の発生」を証明する
『資本論』 翻訳問題とヘーゲル哲学 ー1-
30. 『 直接的生産過程の諸結果 』 資本論 第1部草稿
31. 「社会の富」と古典派経済学
-文献資料一覧2020-
32. 貨幣性商品の考古学 -古代メソポタミア
→ ムギとヒツジの考古学
33. 完全解読 ヘーゲル『精神現象学』 竹田青嗣・西 研著
34. 翻訳問題と労働賃金
第17章 労働力の価値または価格の労働賃金への転化
35. <コラム30> 『資本論』とヘーゲル『小論理学』の対比研究
36. <コラム31>外観 Schein-対象的外観と仮象 Schein
→ ヘーゲル『大論理学』本質論第1章仮象
→ 『大論理学』 C 反省 ◆本質-現象
37. 『資本論』 と 『小論理学』
-ヘーゲル 『小論理学』(下) 村松一人訳-
38. 第2部ヘーゲル論理学・比例論と『資本論』価値方程式2
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→ 2019 資本論ワールド
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新着情報2020
★新着情報 2020.12.10
▼2020 資本論入門12月号-1
比例論 と 価値方程式への道のり 更新:2020.12.07
~ ユークリッド幾何学 『原論』 と『資本論』の比例論 ~
第1部 『資本論』に引用されたアリストテレスの比例論
第2部 ユークリッド幾何学『原論』 と 『資本論』 比例論
第3部 ヘーゲル論理学の比例論-『大論理学』
ー資本論ワールド 編集部ー
『資本論』 比例論とアリストテレスやヘーゲル論理学との関連について探索を行ってきましたが、第2部で、ユークリッド幾何学との関連について紹介します。
『資本論』では、第3節価値形態(第1形態から第3形態までの価値方程式の発展)の前段階として、第1節においてユークリッド幾何学の論理を採用して「比例論」の基礎概念を展開 しています。そして、第3節でヘーゲル論理学と価値方程式へと引き継がれてゆきます。
*この展開の叙述方法(弁証法的方法論)は、資本論入門12月号 (改訂版 2017.1月号) で解説します。 また、次の第3部ヘーゲル論理学の「比例論」で、比例内容について詳しく研究してゆきます。
▼2020 資本論入門12月号-2
『資本論』 翻訳問題-交換価値の表現方式 更新1. 2020.12.10
表現方式 Ausdrucksweise と 数式の仕方(方式)
-方程式の分析を通じて価値を導き出す-
■新着情報 2020.11.01
▼2020 資本論入門11月号-1
『資本論』の科学史・・・・文体/叙述形式の研究
-カント哲学から非ユークリッド幾何学へ-
『資本論』第1章第1節 論理の展開 ー「価値の抽象」 共通なあるものー
「 1-8 一つの簡単な幾何学上の例がこのことを明らかにする。一切の直線形の面積を決定し、それを比較するためには、人はこれらを三角形に解いていく 。三角形自身は、その目に見える形と全くちがった表現-その底辺と高さとの積の2分の1― に整約される。これと同様に、商品の交換価値も、共通なあるものに整約されなければなら ない。それによって、含まれるこの共通なあるものの大小が示される。」
〔*編集部注:直線形・三角形の求積方法の表現形式-その底辺と高さとの積の2分の1―は、ユークリッド幾何学によるもの。球面幾何学など非ユークリッド幾何学では該当しない。
〕
■ 価値表現の価値方程式 その1
表現の仕方・形式 Ausdrucksweise = 現象の形式
『資本論』 - 共通なもの Gemeinsam
★新着情報 2020.10.26
資本論ワールド 編集委員会
2020年-真冬の年末が近づいてきました。世界中に猛威をふるっているコロナ災害ですが、達者にお過ごしでしょうか・・・
戦後の1969年 随分と長い道のりでしたが、向坂逸郎訳『資本論』が岩波文庫から刊行されました。その後50年が経過しましたが、「ドイツ・イデオロギー」を素通りしてしまった日本の翻訳界では、未だに収拾がつかない
“深い混迷” 状態に陥っています。つい最近-2019年9月に、新日本出版社から日本共産党中央委員会社会科学研究所監修の『資本論』が出版されました。だいぶ翻訳語も練れてきましたが、やはり「日本・イデオロギー」が克服されることなく今日に至っています。“科学言語”が欠落したまま惰性が継続されているのです。
何とかして、事態の改善が図られなければなりません。
私たちの『資本論』の世界は 5年の歳月を経て、どうにか「翻訳問題(日本語彙の構築)」の総括段階を迎えています。何事も「原則に帰る」-ことわざ通りの結末です。外国語を日本語に移し替える翻訳技術が日本の翻訳界では、日本人向け(?)の“意訳”に終始しているのです。一見分かりやすい訳語-日本語変換-ほど、慎重な姿勢が要求されるようです。西洋語は、古代ギリシャ以来-とくにアリストテレスの天才を経て-西洋の歴史文化の積み重ねが重層的に折り畳まれています。
未来に臨む若人の無限に開かれた将来性に希望を託して、「翻訳語(意訳)の克服と科学言語の構築へ」 アキラメズ、雨にもまけず、探検隊一同の更なる元気で格闘の時代です。
▼2020 資本論入門10月号-3 2020.10.26
ヘーゲル 『自然哲学』 (第3版1830年)
21世紀の現在からヘーゲル哲学を振り返るとき、その特徴はヘーゲル時代の「思考規定の発展」を体現しているものと言えます。弁証法をあらゆる領域に駆使した広大な知性は、今日でも汲みつくせない大海原の震源です。 ところで、マルクスはいったい”ヘーゲルの根源”の何処を継承したのでしょう。 資本論ワールドでは、尽きないヘーゲル海原とマルクスの接点を探ってゆきます。そこで、『資本論』の科学史を参照すると・・・・
1. カント批判哲学との継承では、第1部力学 A 空間と時間 「a 空間」が参考になります。また、
2. 弁証法では、「B 物質と運動」 においてヘーゲルの基礎概念が克明に展開されています。
3. 『資本論』のElementarform/原点・原理から序列・体系では、「第3部 有機体の物理学」が有意義です。
4. また、『資本論』 第3章 「商品の変態 Die Metamorphose der Waren」は、『自然哲学』§341、343(形態変容 Metamorphose )、さらに、有機体-ヘーゲル”細胞生命”の基礎形式の「ゲル・ Gallert」と『資本論』のGallert(膠状物)の結束点を伺い知ることができます。
これら一連の19世紀科学を望見して、はじめてマルクスの「叙述の形式」に辿りつけるでしょう。
では『資本論』の科学史をスケッチ風にみると、特徴的な形式(叙述の仕方)が浮き彫りになってきます。
A: 「歴史的に、論理的」な叙述形式の展開過程が実証されます。
B: マルクスが活動した西洋の時代風景-19世紀の科学が多方面にわたっています。
まず A:の論理展開として、
1) Element (元素, 要素)の情報原理が展開され、ヘーゲル哲学・論理学の形式 Form を準用しています。
2) マルクスは Form・形式 を、”Elementarform の形式化(表現の型式:Ausdrucksweise)” として創始しました。
つぎに B:当時の科学言語で、『資本論』の論理展開の基軸としています。いくつかを列挙すれば、
① Element / 元素は, 古代ギリシャ思想やヘーゲル『エンチュクロペディ-』§286 c元素の過程など。
② Gallert / 膠状物は, 19世紀のドイツ生物史・細胞学用語。コロイド colloid のドイツ語
③ Gleichung / 方程式は, デカルト数学や17世紀方程式の代数的解法など-価値方程式
④ Fetischcharakter / 物神的性格・フェティシュは, 「18世紀、ド・ブロスのフェティッシュ宗教批判からの転用」
⑤ W-G-W, G-W-G´ / 形態変化・Formwechsel-価値態容・Wertgestalt
商品・貨幣の流通形式は, 有機化学の化学式・構造式の表示モデルから援用。
⑥ Metamorphose / 変態は, ゲーテ形態学とメタモルフォーゼから応用。
このように、マルクスはドイツ語圏を先頭に、西洋各地の19世紀科学史を準用しています。こうした論述方法による論理学の組立て(ヘーゲル『エンチュクロペディ-』)が、”ヘーゲルの弟子”を自認しているものと推察できます。さらに、科学史の探究(カント哲学から非ユークリッド幾何学へ)によって、『資本論』第1章第1節から第3節への「価値抽象」方式の変換が実感できるようになります。第1節の「三角形求積法-共通なあるもの」類推は、第3節の「価値表示-等価形態」で変革(価値方程式の構築)されてゆきます。
............. ...............
▼2020 資本論入門10月号-1
2020『資本論』の翻訳問題
岩波・向坂訳と日経BP・中山訳の対比研究 2020.10.08~
◆資本論ワールド 編集部
『資本論』第1章を中心として、岩波書店・向坂逸郎訳と日経BP社・中山元訳を参照しながら、翻訳上の問題点や『資本論』解釈の争点・論争などを紹介してゆきます。
『資本論』の「価値抽象 Wertabstraktion 」問題が凝縮された形で、露出してきます。戦後の『資本論』翻訳受難の50年(1969年岩波・向坂訳から50年)です。
「 第1章第1節で、一切の交換価値が表現される方程式の分析 〔Analyse der Gleichungen〕 を通じて価値を導き出すことは、科学的にずっと厳密にやっておいた 〔wissenschaftlich strenger durchgeführt〕。
同じく、第1版で示唆を与えただけにとどまっていた価値実体と社会的に必要なる労働時間による価値の大きさの規定との間の関連は、はっきりと強調しておいた。第1章第3節(価値形態)は全部書き改めた。・・・ 第1章の最期の節「商品の物神的性格云々」大部分書き改めた。第3章第1節(価値の尺度)には綿密な訂正を加えた。・・・」 (『資本論』 第2版の後書,1873年1月24日)。
▼2020 資本論入門10月号-2 2020.10.09
■ 表現方式 Ausdrucksweise と数式の仕方(Ausdrucksweise:方式)
■ ヘーゲル『大論理学』 算術ー関係づけの仕方 Beziehungsweisen
■ カント『純粋理性批判』 批判哲学と数学的命題
▼2020 資本論入門9月号-1
『資本論』の翻訳問題ー価値の分析-抽象の方法
A 中山元訳 『資本論』 抄録と解説
▼2020 資本論入門8月号
■ 8月号-3
現代の「元素」と「原子」の組織化 Element と Elementarform
元素から見た 『化学と人類の歴史』 -周期表の物語
物質進化-ー 古代から 21世紀までの周期表物語 ー
■ 8月号-2
(1) 「抽象的に abstrakt 人間的な労働 menschliche Arbeit 」
(2) 価値表現 と 「 価値実体 Wertsubstanz と 価値変化 Wertwechsel 」
参照文献:<コラム3>商品の価値表現 Wertausdruck と価値方程式
(3) ヘーゲル小論理学 「形式」-「形式規定」-「形式活動」
■ 8月号-1 『資本論』 と ヘーゲル
価値方程式 Wertgleichung の元素形式 Elementarform
- Element と Gallert -元素の分類(分類単位)と組織化
『資本論』の問いかけ ・・・
・商品の価値は、どのように表わされているのか?
▼2020 資本論入門7月号-4
■ 関係性-構造と機能システム
■ 属性-性質-性格_集計 2020.07.10
▼2020 資本論入門7月号-1
価値表現・方程式とヘーゲル論理学
第2部 ヘーゲル論理学 - 価値表現の “ 同一性 ”
▼2020 資本論入門7月号-2
『ヘーゲル論理学入門』 と 「小論理学」 “現実性”の研究
▼ 2020 資本論入門7月号-3
特 集 構造と機能システム
Element-Elementarform
~ 関係性の構造と機能システム ~
▼2020 資本論入門6月号-1
『資本論』 価値表現と価値方程式について 2020.06.23
第1部 価値表現と価値方程式 -商品の価値関係 (更新:2020.07.01)
「ある商品の金における*価値表現* ― A商品x量=貨幣商品y量 ― は、その商品の貨幣形態であり、またはその価格である。こうなると、鉄1トン=金2オンスというような個々の方程式は、鉄価値を社会的に通用するように表示するために、充分なものとなる。方程式は、これ以上、他の諸商品の価値方程式と隊伍を組んで行進する必要がない。というのは、等価商品である金は、すでに貨幣の性質をもっているからである。したがって、商品の一般的な相対的価値形態は、いまや再びその本源的な、単純な、または個々的な相対的価値形態の姿をとるにいたっている。他方において、拡大された相対的*価値表現* 、または相対的*価値表現* の無限の列は、貨幣商品の特殊的に相対的な価値形態となっている。
(第3章 貨幣または商品流通 第1節 価値の尺度)
▼2020 資本論入門6月号-2
ヘーゲル「論理学」と『資本論』の「価値表現」
現実性とその条件について
資本論ワールド 編集部
1. 『資本論』の「価値表現」形式 - A商品x量=B商品y量 - において、採用されている「ヘーゲル論理学」のなかでも、第2部本質論が、「方程式の基礎 Leinwand = Rock ist die Grundlage der Gleichung.」を形成しています。そして、「その根拠 Grundlage
」が、「本質論」の 「A 現存在の根拠としての本質 Das Wesen als Grund der Existenz 」です。
2. さらに、「価値形態 Wertform (価値の形式)」の論理展開の根底・根拠となっているのが、ヘーゲル論理学の「C 現実性 Die Wirklichkeit 」です。
3. 「価値表現」(価値表現の両極 Die beiden Pole des Wertausdrucks、すなわち相対的価値形態と等価形態)では、ヘーゲル「同一性 Identität」概念が不可欠であり、また、「価値形態の展開」では、ヘーゲルの「事柄と条件」が、価値概念(事柄)の進展を“条件”づけしています。これらの相関関係の分析によって、はじめて「貨幣形式」の端緒形態である商品の「形式」(価値形態論)を体感できます。
4. 今回のテーマは、『資本論』の価値表現-「A 現存在の根拠としての本質」 と 「価値形態」ー「C 現実性」の相関関係を研究してゆきます。
▼2020 資本論入門6月号-3
ヘーゲル「小論理学」と資本論
価値形態 - 価値の形式活動 ~2020.06.28
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『資本論』 経済学批判
① ヘーゲルに特有の表現法
② 古典派経済学の批判的継承-第1章第1節
③ 交換価値が表現される方程式の分析 翻訳問題
④ 商品の価値形態は、経済の細胞形態
*** *** ***
▼2020 資本論入門5月号-2
ー ヘーゲル「小論理学」第3部 概念論 -作業中-
『資本論』 第1章
A 単純な、個別的な、または偶然的な価値形態
Einfache, einzelne oder zufällige Wertform
B 総体的または拡大せる価値形態
Totale oder entfaltete Wertform
C 一般的価値形態 Allgemeine Wertform
D 貨幣形態 Geldform
・・・・・ →
▼2020 資本論入門5月号
資本論ワールド 編集部
これから「単純な価値形態」の解説を行います。
マルクスは『資本論』の第2版後書きで、「 価値理論にかんする章の諸所で、ヘーゲルに特有の表現法を取ってみた 」 と述べていますので、当該箇所の分析を通して具体的に『資本論』とヘーゲルの関係 ー特有の表現法ー を探究してゆきます。
▼2020 資本論入門4月号
『資本論』 と ヘーゲル ・・・ 相関関係—現象と相関
資本論ワールド ―― 新しい『資本論』の世界へ ・・・・
マルクスによる「ヘーゲルに特有の表現法」は、『資本論』 第1章第1節から始まる。古典派経済学と西洋科学史の伝統を踏襲し、「歴史的に、論理的に」再構成を行っています。
著者自ら言うように-「私が用いた分析の方法は、まだ経済上の問題に適用されたことのなかったものであって、初めの諸章を読むのはかなりむずかしいのです。」 従って『資本論』の読解にあたっては、丁寧に第1章第1節から“編集部注”が要求されることになります。
★参考例 1: ヘーゲル遠望 『資本論』 経済学批判 総集編
「資本主義的生産様式 〔 kapitalistische Produktionsweise:資本制生産の方法〕 の支配的である *1 社会の富は、「 *2 巨大なる商品集積〔”ungeheure Warensammlung":そら恐ろしいほどの商品の集まり・集合 〕」 として現われ、個々の商品はこの富の *3 成素形態 〔Elementarform:元素形式〕 として *4 現われる erscheint。
① 1 社会の富 : 古典派経済学との批判的連続性を意図している。 スミスの『諸国民の富』を参照のこと。
② 2 巨大なる商品集積 : 「商品集積 sammlung」は、商品の集まり・集合を表示し、 ヘーゲル『精神現象学』 の「物が諸物質の集合となる」事態へ、そら恐ろしいほど-想像を絶するほどに、展開してゆく。
③ 3 成素形態 〔Elementarform:元素の形式〕 は、古代ギリシャ時代・アリストテレス『形而上学』 原理としての実体(Element : エレメント)とヘーゲル論理学の「Form (形式)」を合成し、Elementarform として、『資本論』のキーワードを創造している。
なお、メンデーレフ(1869年)による「元素 Element の分類」と「周期律・表の形式化 Form」によって、古代ギリシャ・アリストテレス以来の「元素・Element」が、現代的に構築された。(1873年『資本論』第2版)
そして最後に、
④ 4 「個々の商品は・・・現れる」論理構造を形成し、ヘーゲル論理学の「現象 Erscheinung」論で締めくくっている。
★参考例 2: 「社会の富」の相関関係
資本主義蓄積の一般的法則は、『資本論』 第1巻の最後の章の2つ手前(23章)です。これは、「社会の富」(第1章第1節)から始まり、第25章最終文脈に達する体系の土台
Grund であり、支柱の役割を果たしていると言えます。ーマルクス理論の到達点を結ぶ“赤い糸”でしょう。
「 しかし、われわれは、ここで植民地の状態を論ずるのではない。われわれが関心をもつのは、旧世界の経済学によって、新世界で発見され、声高く宣言された秘密だけである。曰く、資本主義的生産様式と蓄積様式は、したがってまた、資本主義的私有は、自己の労働にもとづく私有の破壊、すなわち、労働者の収奪を条件としている。」(『資本論』第25章近代植民理論)
★参考例 3: 資本論のヘーゲル 「貨幣形態の発生」を証明する
第1章 ヘーゲルの「証明」(論証)手続きについて
第2章 価値形態の展開とドイツ語表記によるヘーゲル論理学の対比
第1形態 A 単純な, 個別的な, または偶然的な価値形態
第3章 貨幣形態の発生の「証明」について
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▼2020 資本論入門3月号-3
カール・マルクス 資本論 第1部草稿
『 直接的生産過程の諸結果 』 森田成也訳 光文社 2016年発行
資本論第1部草稿 「直接的生産過程の諸結果」 は、光文社・森田成也訳(2016)と大月書店・岡崎次郎訳(1970)のほか、岩波書店・向坂逸郎訳(『資本論綱要』に所収.1953)が入手可能ですが、今回は、光文社・森田成也訳を参照してゆきます。
「直接的生産過程の諸結果」の特徴は、比較的短い文章で、仕上げられています。下記の「社会の富」と古典派経済学 の続編として、貴重な文献資料となっています。
また、訳者の森田成也氏による訳語-「物」 「物象」 「人格化」-の解説も(一部を除いて)、要領よくまとまっていますので、『資本論』の第1章全体像を鳥瞰する格好のテキストとなっています。
「直接的生産過程の諸結果」(1863~64年執筆) の第6章では、資本の生産物としての「商品」の文脈上の位置づけがスッキリと、簡単明瞭にーマルクスの文体からは珍しくー記述されています。
―ブルジョア的富の要素形態 〔elementarische Form:*注1. 元素の形式〕 としての商品がわれわれの出発点であり、資本が発生するための前提であった。他方で、商品は今では資本の生産物として現われている。―(森田成也訳 光文社p.117)
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▼2020 資本論入門3月号-2
文献資料集
(1) 「社会の富」と古典派経済学 03.18
(2) 文献資料一覧 2020-03
▼2020 資本論入門3月号-1
文献資料 ■ 『資本論』 経済学批判 (副題)
『資本論』本文のキーワードに注解を行っています。注解には、下線を引いて参照ページで詳しい説明と、参考文献を掲示しています。 必要に応じて、「用語資料」を散策してください。
『資本論』の副題「経済学批判」について、マルクスは『資本論』初版(1867年)で次のように注意書きをしています。
「この著作は、1859年に公けにした私の著書『経済学批判』の続きであって、私はここにその第1巻を読者に提供する。・・右の旧著の内容は、この第1巻の第1章に要約されている。旧著の読者は、第1篇の注で、これらの理論の歴史にたいする新たな資料が提供されているのをみられるであろう。・・・」(岩波文庫p.11)
旧著の『経済学批判』には、「A 商品分析の歴史、B 貨幣の尺度単位に関する諸学説」が編集されています。『資本論』では、「A」、「B」ともに本文の「注」の形で引き継がれ、“経済学批判”の文脈が継続されています。
今回の「文献資料」ー『資本論』経済学批判ー は、旧著『経済学批判』の趣旨が生かされるように構成しています。以下3点に重点を置いて、マルクスの指示(1)-(3)に従っています。
(1) 「私は、公然と、かの偉大な思想家の弟子であることを告白 〔明言:英訳:avow 〕した。そして価値理論にかんする章の諸所で、ヘーゲルに特有の表現法を取ってみたりした。弁証法は、ヘーゲルの手で神秘化されはしたが、しかし、そのことは、決して、彼がその一般的な運動諸形態を、まず包括的に意識的な仕方で証明したのだということを妨げるものではない。弁証法は彼において頭で立っている。神秘的な殻につつまれている合理的な中核を見出すためには、これをひっくり返さなければならない。」(第2版の後書・岩波文庫p.32)
(2)「 第1章第1節で、一切の交換価値が表現される方程式の分析 〔 Analyse der Gleichungen〕 を通じて価値を導き出すことは、科学的にずっと厳密にやっておいた 〔wissenschaftlich strenger durchgeführt〕。同じく、第1版で示唆を与えただけにとどまっていた価値実体と社会的に必要なる労働時間による価値の大きさの規定との間の関連は、はっきりと強調しておいた。第1章第3節(価値形態)は全部書き改めた。・・・― 第1章の最期の節「商品の物神的性格云々」大部分書き改めた。第3章第1節(価値の尺度)には綿密な訂正を加えた。」(第2版の後書・岩波文庫p.19)
(3)「私が用いた分析の方法は、まだ経済上の問題に適用されたことのなかったものであって、初めての諸章を読むのはかなりむずかしいのです。」(フランス語版序文と後書・岩波文庫p.35)
「経済的諸形態の分析では、顕微鏡も化学的試薬も用いるわけにはいかぬ。抽象力なるものがこの両者に代わらなければならぬ。しかしながら、ブルジョア社会にとっては、労働生産物の商品形態または商品の価値形態は、経済の細胞形態である。」(第2版の後書・岩波文庫p.12)
▼2020 資本論入門2月号-3
文献資料 ■貨幣性商品の考古学 -古代メソポタミア
資本論入門2月号
▼2020 資本論入門2月号-1
竹田青嗣・西 研著 完全解読 ヘーゲル『精神現象学』
『資本論』とヘーゲルの連携 -マルクスによる「ヘーゲル特有の表現法」の援用- について、ヘーゲルの「思いこみ(私念)Schein」 を切り口として探究を進めます。
・・・ ・・・ ・・・
▼2020 資本論入門2月号-2 翻訳問題と労働賃金
『資本論』 経済学批判 第1巻 中山 元 訳
第6篇 労働賃金 ・・・労働力商品・物神性の現われ・・・
第17章 労働力の価値または価格の労働賃金への転化 (ああ
ブルジョワ社会の表層では、労働者の賃金は労働の価格という見掛けのもとに現れる 〔erscheint:出現する〕。すなわち一定の量の労働にたいして支払われる一定の金額の貨幣という見掛けをとるのである。・・・商品市場で貨幣の所有者と直接に向き合うのは、実際には労働ではなく、労働者である。労働者が売るのは、彼の労働力である。
古典派経済学は、いかなる批判もせずに日常生活から「労働の価値」というカテゴリーを借りてきて、それからこの価値がどのようにして決まるのかと考えた。しかし古典派経済学はやがて、需要と供給の法則では、他のすべての商品の価格と同じように、労働の価格を決定できないことに気づくようになる。・・・ 経済学が労働の価値と呼んでいるものは、実際には労働力の価値であり、その労働力は労働者の人格のうちに存在するものであり、その機能である労働とは違うものである―。
労働の価値は、労働力の価値を不合理な形で表現したものにすぎない。
労働日のうちの支払労働の部分、すなわち6時間の労働が表現されているが、これが6時間の不払労働の時間を含む12時間の労働日全体の価値または価格として現われる。つまり労働賃金という形態は、労働日が必要労働と増殖労働に分割され、支払労働と不払労働に分割されるという痕跡をまったく拭いさってしまうのである。すべての労働が支払労働であるかのように現れてくる。・・・
このようにして、労働力価値と価格が労働賃金の形に変化すること、労働そのものの価値と価格に変化することが決定的に重要であることが分かる。この現象形態は、実際の関係をみえなくしながら、まさにその反対の姿を提示するのである。この現象形態 Erscheinungsform を土台として、労働者と資本家についてのあらゆる法的な概念が生まれ、資本制的な生産様式のあらゆる神秘化が行われ、自由についてのあらゆる幻想が生まれ、俗流経済学のあらゆる護教的な詭弁が成立する。・・・
▼2020 資本論入門1月号-1 『資本論』のヘーゲル (1) 2020.01.10
『資本論』と「ヘーゲル論理学」 半世紀を経て、次の飛躍へ・・・・
<新着情報参照-1月・編集作業中->
1. 『資本論』 向坂逸郎訳 岩波書店 1969年
2. ヘーゲル 『小論理学』(下) 村松一人訳 岩波書店 1952年
3. 『資本論』 と 『小論理学』 -(http://marx2019.com/bs009-sihonron_ronrigaku.html)
マルクスの序文より 『資本論』第2版 後書き
「 私の弁証法的方法は、その根本において、ヘーゲルの方法とちがっているのみならず、その正反対である。・・・しかし、ちょうど私が『資本論』第1巻の述作をつづけていた時には、いま教養あるドイツで大言壮語しているあの厭わしい不遜な凡庸の亜流が、誇り顔に、レッシングの時代に勇ましいモーゼス・メンデルスゾーンがかのスピノザを取り扱ったようにすなわち、「死せる犬」として、ヘーゲルを取り扱っていた。
したがって私は、公然と、かの偉大な思想家の弟子であることを告白した。そして価値理論にかんする章の諸所で、ヘーゲルに特有の表現法を取ってみたりした。弁証法は、ヘーゲルの手で神秘化されはしたが、しかし、そのことは、決して、彼がその一般的な運動諸形態を、まず包括的に意識的な仕方で証明したのだということを妨げるものではない。弁証法は彼において頭で立っている。神秘的な殻につつまれている合理的な中核を見出すためには、これをひっくり返さなければならない。・・・」 1873年1月24日 カール・マルクス
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