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                                          『資本論』 価値表現と価値方程式
*参照:
価値方程式とは? 
 → 
価値実体と価値変化 


コラム3> 『資本論』
 
  商品の価値表現
Wertausdruck
          方程式・価値方程式
 


    
『資本論』の論理学研究 序論


  まえがき

  
金の「価値表現」と価値方程式について
  
   ・・・第3章貨幣または商品流通 第1節価値の尺度・・・


1. 「ある商品の金における価値表現 Wertausdruck は―A商品x量=貨幣商品y量―は、その商品の貨幣形態であり、 またはその価格である。こうなると、鉄1トン=金2オンスというような個々の
方程式Gleichungは、鉄価値を社会的に 通用するように表示するために、充分なものとなる。方程式 Gleichung は、これ以上、他の諸商品の〔諸〕価値方程式 mit den Wertgleichungen der andren Waren」 隊伍を組んで行進する必要がない。」 (岩波文庫p.169)

2. 「というのは、等価商品である金は、すでに貨幣の性質をもっているからである。したがって、「商品の一般的な 相対的価値形態 Die
allgemeine relative Wertform der Waren」は、いまや再びその本源的な、「単純な、または個々的な相対的価値形態 einfachen oder einzelnen relativen Wertform」 の姿をとるにいたっている。」

3. 「他方において、拡大された相対的価値表現、または相対的価値表現の
無限の列は、貨幣商品の特殊的に相対的な価値形態となっている。しかしながら、この列は、いまやすでに商品価格で社会的に与えられている。物価表を逆に読めばいいのだ。そうすれば、可能な、ありとあらゆる商品における貨幣の価値の大いさが、表示されていることを知るのである。」


 ***   ****


Ⅰ. 『資本論』 第1章商品 第1節 商品の2要素

          使用価値と価値(価値実体、価値の大いさ)


 「さらにわれわれは二つの商品、例えば小麦と鉄とをとろう。その交換関係がどうであれ、この関係はつねに一つの方程式に表わすことができる。そこでは与えられた小麦量は、なんらかの量の鉄に等置される。
  例えば、1クォーター小麦=a ツェントネル鉄というふうに。
この方程式は何を物語るか?
 二つのことなった物に、すなわち、1クォーター小麦にも、同様にa ツェントネル鉄にも、
同一大いさのある共通なものがあるという ことである。したがって、二つ(両つ)のものは一つの第3のものに等しい。この第3のものは、また、それ自身としては、前の二つのもののいずれでもない。両者のおのおのは、交換価値であるかぎり、こうして、この第3のものに整約しうる (注)ものでなければならない。」


   (注1) 整約する:〔reduzieren:簡約、約分する(数式中の同類項をまとめるなど、論理的に同等で簡潔な形にすること。「方程式、行列の簡約化」など)〕
  
(注2) 同志社大学・近藤弘教授HP・・「行列の簡約化」参照              http://tau.doshisha.ac.jp/lectures/2005.linear-algebra-I/html.dir/node61.html



    
Ⅱ. 第3節価値形態または交換価値

  
A 単純な、個別的な、または偶然的な価値形態
   
  < 
b 相対的価値形態の量的規定性

1. 「亜麻布20エレ=上衣1着または亜麻布20エレは上衣1着に値する」という
方程式は、1着の上衣の中にまさに20エレの亜麻布の中におけると同じだけの量の価値実体がかくされているということ、両商品量は、したがって、同じだけの労働が加えられている、または同一大いさの労働時間がかけられているということを前提とする

2. 「しかしながら、20エレの亜麻布または1着の上衣の生産に必要なる労働時間は、機織または裁縫の生産力における一切の変化とともに変化する。」

3. 「Ⅰ.亜麻布の価値は変化するが、上衣価値は不変である場合。亜麻布の生産に必要な労働時間が、例えば亜麻布培地の豊度の減退の結果、2倍となったとすれば、その価値は2倍となる。亜麻布20エレ=上衣1着のかわりに、われわれは亜麻布20エレ=上衣2着という式をもつことになる。・・・すなわち商品Aの相対的価値、その商品Bに表現された価値は、このようにして、商品Bの価値を同一としても、商品Aの価値に比例して上騰したり、低下したりするのである。」

4. 「Ⅱ.亜麻布の価値は不変であって、上衣価値が変化する場合。この事情のもとでは上衣の生産に必要な労働時間が、例えば羊毛刈りこみが不便となったために、2倍となったとすれば、われわれは亜麻布20エレ=上衣1着という式のかわりに、いまでは亜麻布20エレ=上衣1/2着という式を得る。・・・したがって商品Aの価値を不変としても、商品Bで表現されるその相対的価値は、Bの価値変化と反比例で、低下したり上騰したりするのである。」

5. 「すなわち、相対的価値の同一なる量的変化が、全く相反した原因から発生しうるということである。このようにして、亜麻布20エレ=上衣1着という式から、 (1)亜麻布20エレ=上衣2着という
方程式が出てくる。 それは亜麻布の価値が2倍になったのか、または、上衣の価値が半ばに低下したのかによるのである。さらに、 (2)亜麻布20エレ=上衣1/2という方程式も出てくる。それは亜麻布の価値が半分に低下したのか、または上衣の価値が2倍にのぼったからである。」

6. 「Ⅲ.亜麻布と上衣の生産に必要な労働量は、同時に同一方向に同一割合で変化することもある。この場合には、その価値がどんなに変化しても、依然として亜麻布20エレ=上衣1着である。この
価値変化を発見するには、これらの二つの商品を、価値不変なる第3の商品と比較しさえすればよいのである。一切の商品の価値が、同時に同一割合で上騰または低下するならば、その相対的価値は不変にとどまるであろう。こんどは、この実際の価値変化は、同一労働時間に、以前より大きな商品量か、小さな商品量かが、同じように供給されるということから明らかとなるであろう。」



  <
3 等価形態 Wertgleichung> 

1. 「等価形態においては、上衣なる商品種が価値表現において等価の地位をとることになると、その価値の大いさは、価値の大いさとしての表現をもたなくなる。その価値の大いさは、価値方程式において、むしろただ一物の一定量として現われるだけである。」

2. 「等価形態の考察に際して目立つ第一の特性は、使用価値がその反対物の現象形態、すなわち、価値の現象形態となるということである。」



   
B 総体的なまたは拡大された価値形態

 < 
3 総体的または拡大された価値形態の欠陥> Wertgleichung

1. 「第一に、商品の相対的な価値表現は
未完成である。というのは、その表示序列がいつになっても終わらないからである。一つの価値方程式が、他のそれを、それからそれとつないでいく連鎖は、引きつづいてつねに、新しい価値表現の材料を与えるあらゆる新たに現われる商品種によって引き延ばされる。」

  ( 諸方程式 )
2. 「拡大された相対的価値形態は、ただ単純な相対的価値表現、または
第1形態の諸方程式の総和から成っているだけである。
  例えば
   亜麻布20エレ=上衣1着
   亜麻布20エレ=茶10ポンド 等々
 これらの
諸方程式のおのおのは、だが、両項を逆にしても同じ方程式である。
   上衣1着=亜麻布20エレ
   茶10ポンド=亜麻布20エレ 等々



    
C 一般的価値形態  Wertgleichung

    <
1価値形態の変化した性格

1. 「
第1の形態は、上衣1着=亜麻布20エレ、 茶10ポンド=鉄1/2トン 等々というような価値方程式を作り出した。・・・この形態が明瞭に実際に現れるのは、ただ、労働生産物が、偶然的な、そして時折りの交換によって商品に転化されるような、そもそもの端緒においてである。」

    〔 2. 
無数の方程式 〕
2-1 「商品世界の一般的な相対的価値形態は、この世界から排除された等価商品である亜麻布に、一般的等価の性質をおしつける。亜麻布自身の自然形態は、この世界の共通な価値態容Wertgestaltであり、したがって、亜麻布は他のすべての商品と直接に交換可能である。この物体形態は、一切の人間労働の眼に見える化身 
Inkarnation (受肉)として、 一般的な社会的な蛹化 Verpuppung としてのはたらきをなす。機織という亜麻布を生産する私的労働は、同時に一般的に社会的な形態、すなわち、他のすべての労働との等一性の形態にあるのである。」

2-2 「一般的価値形態を成立させる
無数の方程式は、順次に亜麻布に実現されている労働を、他の商品に含まれているあらゆる労働に等しいと置く。そしてこのことによって、機織を人間労働そのものの一般的な現象形態にするのである。」


2-3 「このようにして、商品価値に対象化されている労働は、現実的労働のすべての具体的形態を有用なる属性とから抽象された労働として、たんに否定的に表示されるだけではない。それ自身の肯定的性質が明白に現われるのである。
 それは、すべての現実的労働を、これに共通なる人間労働の性質に、人間労働力の支出に、
 約元〔Reduktion:還元、(数学:約分、換算)〕したものなのである。」

2-4 「労働生産物を、無差別な人間労働のたんなる凝結物 
Gallert として表示する一般価値形態 allgemeine Wertformは、それ自身の組み立てによって、それが商品世界の社会的表現であるということを示すのである。
 このようにして、一般価値形態は、この世界の内部で労働の一般的に人間的な性格が、その特殊的に社会的な性格を形成しているのを啓示する(注)のである。」
  (注1) 〔offenbaren:啓示:神が示現する(いろいろな姿をとって現れること)、または宗教的真理を人間へ伝達すること〕
  (注2) 『資本論』注24岩波文庫 p.125で、カトリック信者と教皇の関係が出されている)



  3.<
2相対的価値形態と等価形態の発展関係

3-1 「価値形態一般が発展すると同じ程度で、その二つの極たる相対的価値形態と等価形態の間の対立もまた発展する。」
  「すでに第1形態―亜麻布20エレ=上衣1着がこの対立を含んでいる。しかしまだ固定してはいない。
同じ方程式が順に読まれるか、逆に読まれるかにしたがって、亜麻布と上衣というような両商品極のおのおのが、同じように、あるときは相対的価値形態に、あるときは等価形態にあるのである。このばあいにおいては、なお両極的対立を固着せしめるのに骨が折れる。

3-2 「第2形態では、依然としてまだ各商品種ごとに、その相対的価値を全体として拡大しうるのみである。言葉をかえていえば、各商品種自身は、すべての他の商品がこれにたいして等価形態にあるから、そしてそのかぎりにおいて、拡大せる相対的価値形態をもっているにすぎないのである。 この場合においては、もはや 
価値方程式亜麻布20エレ=上衣1着 または =茶10ポンド または =小麦1クォーター 等々 ―の両項を移し換えると、その総性格を変更し、これを総体的価値形態から一般的価値形態に転換させてしまうほかないことになる。」



   
 D 貨幣形態

1. 「第4形態(貨幣形態)は、ただ亜麻布のかわりに、いまや金が一般的等価形態をもつに至ったということ以外には、第3形態と少しもことなるところはない。・・・すなわち、直接的な一般的な交換可能性の形態、または一般的な等価形態が、いまや社会的習慣によって、終局的に商品金の特殊な自然形態と合生してしまったということである。」

2. 「金が他の商品にたいして貨幣としてのみ相対するのは、金がすでに以前に、それらにたいして商品として相対したからである。  すべての他の商品と同じように、金も、個々の交換行為において
個別的の等価として(als einzelnes Äquivalent)であれ、他の商品等価と並んで特別の等価として(als besondres Äquivalent)としてであれ、とにかく等価として機能した。
 しだいに金は、あるいは比較的狭い、あるいは比較的広い範囲で
一般的等価として(als allgemeines Äquivalent)機能した。」

3. 「金が、商品世界の価値表現で、この地位の独占を奪うことになってしまうと、それは貨幣商品となる。そして金がすでに貨幣商品となった瞬間に、やっと第4形態が第3形態と区別される。いい換えると一般的価値形態は貨幣形態に転化される。」

4. 「
貨幣形態という概念の困難は、一般的等価形態の、したがって、一般的価値形態なるものの、すなわち、第3形態の理解に限られている。第3形態は、関係を逆にして第2形態に、すなわち、拡大された価値形態に解消する。
 そして
その構成的要素は第一形態である。すなわち、亜麻布20エレ=上衣1着 または A商品x量=B商品y量である。

5. 「したがって、
単純な商品形態〔第1形態〕は 貨幣形態の萌芽(Keim:胚細胞)である。」


  2017.01.27 第1回 『資本論』の論理学研究の序論

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