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  資本論ワールドようこそ



   ゲゲゲの鬼太郎の水木さん 


  「妖怪というものは、いかがわしく、とらえどころのないものである。逃げやすく、
  つかみにくい、そんなものはもともといないのではないか、という人もあるが、
  いないとも言いきれない。なにかいるのだ。


  「
妖怪というと、よくお岩の幽霊なんかまで仲間に入れて気味悪がる人もいるが、
  お岩は幽霊であって妖怪ではない。妖怪とは河童とか、海坊主とか、
  牛鬼とかいったもので、こわいけれども、どことなく愛嬌のあるものだ。


 「
妖怪を感ずるか、感じないかは、もって生れた“妖怪感度”とでもいうべきものによると思うのだが、
 感度の高い人と低い人とあるような気がする。
  (『妖怪天国』筑摩書房)

 
 
 ■ 商品の「価値」は、ゲゲゲの鬼太郎みたいだ

  
    

  「商品の価値」(『資本論』)が話題に登るとき、ゲゲゲの鬼太郎がひょっこり。
    皆さんも記憶されているいるでしょう、
   「
妖怪のような」話から、商品の価値話しは始まるんです。

  「われわれはいま労働生産物の残りをしらべて見よう。
   もはや、
妖怪のような同一の対象性〔gespenstige Gegenständlichkeit:具体性〕以外に、
     すなわち、無差別な人間労働の、いいかえればその支出形態を考慮することのない、
     人間労働力の、単なる膠状物〔
Gallert:ゲル〕というもの以外に、
     労働生産物から何ものも残っていない。」
   水木さんの
“妖怪感度の高い人、低い人”を思い出させるのですが、
   では、そもそも「
商品の価値ってなんぞや」。こんな疑問を胸に秘めながら、
   謎解きワールドに皆さんをご招待したいと思います。どうぞ、ごゆるり散歩気分で、
   ちょっぴりこわ~い緊張感をもってご一緒しましょう。


      ・・・~   ・・・~  ・・・~


  『資本論』入門について

 
第1章 編集方針

 『資本論』ワールドの特徴は、原典・引用文献(翻訳)に重点をおいています。
 目的は、
 1. できるだけ、本文そのものに慣れ親しむこと。
 2. 外国文献であり、日本文化とは「異質」であること。
 3. 著者マルクスの「思考の道筋」を追ってゆくこと。
 4. 「入門編」は、読者の一生の航路を決定すること。

 1年12回に分けて、『資本論』を読んでゆきます。
 日本語に翻訳された『資本論』は、西洋文化の伝統の軽視と誤解があり、
 マルクス・キーワードの復元を図ってゆきます。

 西洋思想の歴史を大きく4つに区分してあります。
 1. 古代ギリシャ文化
 2. 中世キリスト教神学
 3. 西洋科学史、とくに生命科学
 4. ヘーゲル哲学

 
『資本論』は、第1章冒頭から「ギリシャ思想」の中心概念で始まります。
 「社会の富は、「巨大なる商品集積〔集合・集まり〕」として現われ、個々の商品は、
 この富の成素形態として現われる。」
  
商品集積〔集合・集まり〕と成素形態〔Elementarform〕とは、対概念(セット)です
  この「成素」と「集合・集まり(集積は誤解を招くので要注意)」を <翻訳問題>として、
他の箇所で解説をしています。 
「個々の商品」が「成素Element}として現象している
この「一行」は、『資本論』全篇・全体を貫くキーワードとなっています。
 このキーワードの理解には、アリストテレスの『形而上学(第一哲学)』 (古代ギリシャ哲学)が
要求されています。西洋文化にしめる「
Element」は、伝統的に特殊な論理構造をもつ文脈で
使用される概念なのです。

  <注> 3月号・新着情報 「iPS細胞とは何か」 において、成素形態Elementarform と
       「細胞形態」の相互関連について、ご案内しています。

 毎月『資本論』を読み進めながら、大きく4つに区分された西洋思想を跡づけ、キーワードの
関連性を読み解いてゆきます。たどたどしい歩みのように思えるかもしれません。

 アリストテレスやトマス・アクィナスと一緒に
   「
真理からそれることがはじめはほんのわずかであっても、
          先へすすめばそれがいよいよ大きくなるものだからである

 ■ ピケティとグローバル資本主義

  これから皆さんと1年間・12ヶ月をかけて、『資本論』ワールドの探索の旅にでかけます。
 離陸直前の昨年一年間は、フランスのピケティによって、『資本論』への関心が
 世界中に沸き起こりました。日本でも2014年12月に『21世紀の資本』が刊行されやいなや、
 あっという間に10万部という驚異的な読者(?!)が誕生しました。
  『資本論』への関心の高まりの背景には、世界でも日本でも社会不安と貧困・格差の拡大
 が蔓延してゆく状況にその要因があるようです。国内の『資本論』の出版状況についても、
 2005年、2011年とたて続きに新しい『資本論』訳が刊行され、
 21世紀は、新時代の訪れ-息吹きが感じられる季節のようです。
 2016年、私たちは新しい時代の幕開けと共に全く新しい『資本論』を開始します。
 これまで100年に及ぶ「翻訳時代」を経て、自立した『資本論』時代を築き上げようと、
 ホームページ編集委員会一同の目標です。



  ■ 一年間の『資本論』探究の旅へ

  アメリカ一強時代の終焉とともに、資本主義の衰退が誰の目にも感じられる時代。
 現在の立ち位置と将来の見通しが感じ取れるように、
 誰しも生きてゆきた~い思いが強くなっています。
  アメリカマンハッタン・2001年9.11から始まる21世紀。
 リーマン・ショックから8年を経てますます混迷の度が深まりゆきます。
 世界中にテロと内戦が拡散し、日本では、貧困と格差が拡大し、
 「白昼堂々と憲法破壊の法律がまかりとおる時代」、「憲法改正に向かう時代」に突入しました。
  私たちは、歴史の歩みとともに「資本主義社会とは何か」を
 問い続ける時代に突入しました。この問題意識を共有する多くの仲間とともに、
 ホームページ『資本論』ワールドが誕生しました。
 『資本論』月報として一ヶ月に一度更新をしてゆきます。一年 12ヶ月間で、
 『資本論』入門として、納得のゆくガイド役プロジェクトとして出発します。
   
■ 
カール・マルクスの伝言
 
「私が用いた分析の方法は、まだ経済上の問題に適用されたことのなかったものであって、
 初めの諸章を読むのはかなりむずかしいのです。
  学問には坦々たる大道はありません。そしてただ、学問の急峻な山路を
 よじ登るのに疲労こんぱいをいとわない者だけが、
 輝かしい絶頂をきわめる希望をもつのです。」

                                   1872年3月18日カール・マルクス