方程式と等式について なお、博友社版 相良守峯編『大独和辞典』では、方程式は「 Gleichung 」、等式は「 Gleichheit 」ー日本語で翻訳用語として分離している。 ちなみに英語では方程式、等式ともに「equation」となっている。 1. → 岩波・向坂訳、河出書房新社・長谷部訳以外は、 この「方程式Gleichung」を「等式Gleichheit」と読み換えて、わざわざ日本語に翻訳し、変更しているのである。それぞれの翻訳者は、その訳語についての解説・定義などは一切ない。 このようにして、「改訳 (改悪) 」し『資本論』の「論理学」を破壊しているのである。 2. 「等式」の翻訳者は、ヘーゲル論理学についての無理解が明白となってくる。 ヘーゲル論理学では、「個別的なものは、一般的なものへ通じる連関のうちにのみ存在する」(『小論理学』)ので、個別的な商品の 価値表現「1クォーター小麦= a ツェントネル鉄」は、次のように理解されます。 すなわち、個別的な1クォーター小麦と a ツェントネル鉄が「=」で連結されるのは、一般的なものへ通じる価値の序列/系列連関(この表示機能を方程式という)にたいしてである。 したがって、③の「一つの同一物〔数学上では、方程式の解法としての “未知数概念” を意味している〕を言い表している」機能を表示する場合には、「方程式」を使用する。 3. 『資本論』でマルクスは、 なぜ方程式のような「数学上の論理学形式」を採用するのか? 西洋世界では、ピタゴラスの定理やプラトンの伝統に従って、ユークリッド幾何学など「図形表示による論理形式」が日常的に普通に行なわれています。 日本ではあまり流行りませんが、『資本論』序文でマルクスが紹介している近代初頭のスピノザは、『エチカ』のなかで「神の存在証明など論述形式が全体を通してユークリッド『原論』の研究方法」を採用しています。 資本論ワールド編集部は、古代ギリシャの哲学史を探索していますが、西洋世界の解読のツールに欠かすことができません。 古代バビロニア~ギリシャの”方程式原論”は、優に3000年の歴史を歩んでいます。 |
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8.「価値形態」のヘーゲル哲学 概念論-普遍・特殊・個別 |
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3. ヘーゲル論理学「比例論」と 『資本論』の価値方程式 1 |
9.『資本論』 商品の価値対象性 形式/形態Formの二重性 |
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4. ヘーゲル論理学 「比例論」と 『資本論』 価値方程式 2 |
10. ヘーゲル「Form/形式活動」 一般的価値形態の研究 (作業中) |
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11.『資本論』 商品価値の比例論 -抄録 |
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