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 資本論用語事典2021
 Element-form 研究入門

  マルクス「経済学の方法」とElementの研究  2021.02.08

 マルクス『経済学の方法』の研究
向坂逸郎『マルクス経済学の方法

    ・・・ 『経済学批判の要綱』1857-1858 ・・・

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〔 単純な範疇 Element は、未発展の具体的なものが実現したと思われる諸関係の表現 〕
      ・・・アリストテレス:可能態と現実態、参照・・・
9.  すなわち、単純な範疇 〔Element〕 は、未発展の具体的なものが実現したと思われる諸関係の表現であって、この場合、より多面的な関連またはより具体的な範疇に精神的に表現されている〔より多面的な〕関係は、まだ存在するものとされていない、ということである。尤も他方、より発展した具体的なものは、同じ単純な範疇を従属的な関係として保有してはいる。
 貨幣は、資本が存在し、銀行が存在し、賃金労働が存在した等々の前に、存在しうるし、また歴史的に存在した。したがって、この面からすれば次のように言ってもよいことになる、すなわち、より単純な範疇〔Elementarform〕は未発展の全体の主調をなす諸関係を、あるいはより発展せる全体の従属的な諸関係を表現することができる、そしてこの諸関係は、全体が、より具体的な範疇に表現される面に即して発展する前に、すでに歴史的に存在したのであった、ということである。そのかぎりにおいて、最も単純なもの〔(編集部:注1)〕から、複合せるものへと上向する抽象的思惟の進行は、現実の歴史的過程にそっているということになる。
     (編集部:注1) 価値形態のElementarform : 構成的要素
 「貨幣形態という概念の困難は、一般的〔普遍的〕等価形態の、したがって、一般的〔普遍的〕価値形態なるものの、すなわち、第3形態の理解に限られている。第3形態は、関係を逆にして第2形態に、すなわち、拡大された価値形態に解消する。そしてその構成的要素〔成素〕 konstituierendes Element は第1形態である。すなわち、亜麻布20エレ=上衣1着 または A商品 x 量=B商品 y 量 である。したがって、単純なる商品形態は貨幣形態の萌芽〔胚芽〕 der Keim der Geldformである。」(『資本論』第1章第3節D貨幣形態。「『貨幣形態の発生』を証明する」参照