用語集2020.06.08
膠状物Gallertと凝結せる労働時間
「無差別な人間労働力支出の単なる膠状物Gallert」
「価値としては、すべての商品は、ただ凝結せる労働時間festgeronnener Arbeitszeit.の一定量bestimmte Maßeであるにすぎない。」
『資本論』第1篇 商品と貨幣 第1章 商品
第1節 商品の2要素 使用価値と価値 (価値実体、価値の大いさ)
1-11「 いまもし商品体の使用価値を無視するならば、商品体に残る属性 Eigenschaftは、労働生産物という属性である。〔この属性概念が第2節、第3節で発展してゆきます〕
労働生産物の有用なる性質と労働の有用なる性質は消失する。この労働生産物は、ことごとく同じ人間労働、抽象的に人間的な労働に整約される。」〔岩波文庫p.72〕
「 この労働生産物の残りのものは、妖怪のような同一の対象性、無差別な人間労働力支出の単なる膠状物Gallertである。これらの物は、おたがいに共通な、この社会的実体〔人間労働力支出〕の結晶として、価値-商品価値である。〔岩波文庫p.73〕
「 商品の交換比率または交換価値に表われている共通なものは、かくて、その価値である。・・・財貨〔や商品〕の価値の大いさdie Größe seines
Wertsは、その中に含まれている「価値形成実体wertbildenden Substanz」である労働の定量Quantumによってである。 労働の量Quantität自身は、時・日等の一定時間部分としてその尺度標準がある。〔岩波文庫p.74〕
→〔(編集部注)大いさdie Größeと量Quantität についてヘーゲルの解説を参照してください。〕
「 価値の実体Substazをなす労働は、等一の人間労働で、同一人間労働力の支出である。 商品世界の価値に表わされている社会の全労働力は、同一の人間労働力とみなされる。無数の個人的労働力のおのおのは、社会的平均労働力として作用し、社会的に正常なる生産諸条件と労働の熟練と強度の社会的平均度をもって、使用価値を造り出すために必要とされる労働時間である。〔岩波文庫p.74〕
「 このようにして、個々の商品は、その種の平均見本にされてしまう。ある商品の価値の、他の商品のそれぞれの価値にたいする比は、ちょうどその商品の生産に必要な労働時間にたいする比に等しいverhält。
「価値としては、すべての商品は、ただ凝結せる労働時間festgeronnener Arbeitszeit.の一定量bestimmte Maßeであるにすぎない。」〔岩波文庫p.75〕
→〔凝結せるfestgeronnener→gerinnenゲル化する・膠状化する・Gallertの関連語〕
■『資本論』第1篇商品と貨幣 第1章商品
第1節 商品の2要素 使用価値と価値 (価値実体、価値の大いさ)
1-16「 そんなわけで、ある使用価値の価値の大いさを規定するのは、ひとえに、社会的に必要な労働の定量、またはこの使用価値の製造に社会的に必要な労働時間にほかならないのである(原注9)。個々の商品は、このばあい要するに、その種の平均見本にされてしまう。(原注10)同一の大いさの労働量を含む商品、または同一労働時間に製作されうる商品は、したがって、同一の価値の大いさをもっている。ある商品の価値の他の商品のそれぞれの価値にたいする比は、ちょうどその商品の生産に必要な労働時間の、他の商品の生産に必要な労働時間にたいする比に等しい。
価値としては、すべての商品は、ただ凝結せる労働時間の一定量であるにすぎない。」(原注11.岩波文庫p.75)
(*21 原注11)カール・マルクス『経済学批判』 新潮社版『選集』第7巻、60ページ〕
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